すでにツイッターなどで情報が出ていますが、今まで18歳未満の患者さんにしか処方できなかったADHD治療薬、ストラテラが、先日、18歳以上の成人のADHD患者さんにも、処方できるようになりましたので、このブログでも取り上げておきます。


これは、18歳までに診断を受けた患者さんの継続処方だけでなく、18歳以降、初めて診断されたADHD患者さんも、処方の対象になります。


ADHDとは、多動性・衝動性、それから不注意の3つの症状が主なものですが、特に不注意や衝動性は、成人になっても、症状が残ります。


これらの症状で、会社や学校などで生活に支障が出ている人にとって、今回の承認は、やはり朗報といえるでしょう。



ストラテラの薬効などは以下の通り。

https://www.lilly.co.jp/pressrelease/2012/news_2  からの引用です。

(太字・文字の色付けは筆者によるものです)


成人期AD/HDへの効果
・ストラテラは、AD/HDの中核症状である、不注意、多動性、衝動性を改善します。第III相臨床試験では、AD/HD症状についてプラセボ群と比べて有意差のある改善が示されました。
・ストラテラは日常生活での機能障害を改善します。AD/HD症状が影響する生活面の見通しや生産性、対人関係など、生活の質の面でも、第III相臨床試験において、プラセボ群と比べて有意差のある改善が示されました。


成人期AD/HDへの安全性
国際共同試験において、安全性評価対象例392例(日本人患者278例を含む)中315 例(80.4 %)に副作用が報告されました。
主な副作用は、悪心(46.9%)、食欲減退(20.9 %)、傾眠(16.6%)、口渇(13.8%)、頭痛(10.5% )でした。


成人期AD/HDについて
小児期にAD/HDと診断された患者のうち約50~70%は成人期(18歳以降)にまで症状が持続することが示唆されており
*4 、成人AD/HDの有病率は世界全体では平均3.4%*5 と報告されています。AD/HDと診断される成人では、気分障害、不安障害、強迫性障害、解離性障害、物質性障害など多岐にわたる障害が重なること*6、また、落第、失業、転職、離婚などがみられるという報告もあります*7。成人期AD/HDの治療は、患者との面接や、家庭・職場との連携、薬物療法など総合的なプログラムが重要とされています。
*4 Civic Research Institute:4-1- 4-12, 2002,*5 Br J Psychiatry 190:402-409,2007,*6 精神科治療学 19(4):415-424,2004,*7精神科治療学 19(5) : 563-569,2004.


ストラテラの特徴
・ AD/HD治療剤として世界初の非中枢神経刺激薬です。
・ AD/HDの中核症状である、不注意、多動性、衝動性を改善します。
ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで効果を発揮する薬剤で、従来のAD/HD治療剤とは異なる薬理作用、作用機序を示します。
・ 依存・乱用のリスクが低く*8、流通管理や医師の登録の必要がありません。
・ 投与開始2週目から症状改善が認められ、維持量(80 -120mg/日)に到達後4 週間で安定した効果が得られます。
*8 Neuropsychopharmacol 2005;30:758-764, Drug Alcohol Depend 2004;75:271-276, Drug Alcohol Depend 2002;67(2):149-156


ストラテラの薬理作用
AD/HDには、脳内、特に注意および行動制御の調節を行っているノルアドレナリンやドパミンなどのカテコールアミンが関与しているものと考えられています。
ストラテラは、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI)です。ノルアドレナリンの神経終末への再取り込み過程を選択的に阻害します。



副作用の発言率がやや高いような気がしますが、深刻な不注意症状等に悩まされている、多くのADHD患者さんに福音をもたらすことを願っています。



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